岩手県紫波町「オガール」

岩手県紫波町にある「オガール」を訪ねた。

地元出身でUターンした岡崎正信氏が中心となり、補助金に頼らない公民連携の仕組みで街づくりを進めている、という事を知り現地を見たいと思っていた。

“オガール”とは、JR紫波中央駅前に新しい街を展開することから、フランス語でを意味する“Gare”(ガール) と、地元の方言で成長を意味する“おがる”を掛け合させて作られた言葉だ。 

 

駅西側に広がる広さ10.7haの町有地に、県フットボールセンターとアリーナ(体育館)を備えるスポーツエリア(南)、一戸建て住宅地エリア(北)、その間の空間を4ブロック(街区)に分け、紫波町新庁舎(2015年開庁)、図書館や「紫波マルシェ」などの物販・飲食店が入居する「オガールプラザ」、日本初のバレーボール専用体育館であるオガールアリーナを一体化させた「オガールベース」などが立地している。

街づくりは途上で、今年秋に完成予定の「オガールセンター」には、小児医療・病児保育、こどもセンター、集合住宅、テナントなどが入居する予定だという。

 

街に入ると、役場新庁舎が一番高い3階建てで、他は低層の建築物や、余裕をもって配置されていて、電柱・電線が無い事もあり、解放感があった。

平日ということもあり、人通りは少なかったが、土日には「オガール」の中心であり、「プラザ」と「ベース」の間にある「広場」には、イベントなどで町民を中心に多くの人々が集まるという。

 

プラザ内にある「紫波町図書館」は、天井が高く、ゆったりとしたつくりだった。地場産業である農業関連の図書・資料が充実していて、農家を支援しているという。

 

「オガール」の北エリアに広がる「オガールタウン」。

2013(平成25)年から分譲がはじめられた“日本初の本格的エコタウン”で、地元産材を使い地元工務店が高気密高断熱の住宅を建設していると言われている。広大な平地に、新しい住宅が整然と並んでいた。ここも無電柱で解放感があった。

 

 

「オガール(紫波)」は年間80万人も訪れるエリアになっていて、新たな街づくりの先駆者と言われている。

官民連携(PPP、Public Private Partnership)の形を採り、「PFI(Private Finance Initiative)」の手法を用いて、住民を巻き込み収支計画を立て段階的に街づくりを進めたというこの実績は、郡山市など福島県内の自治体の参考になるだろう。

居住エリアでありながら、集客し賑わいを創出している「オガール(紫波)」の今後に注目してゆきたい。

(了)

 

 

*参考

・内閣府:「PPP/PFIとは

・ダイヤモンド社:「岩手県紫波町・オガールプロジェクト Uターン青年と経営者町長が塩漬けの町有地再生に挑む」(2012年6月29日)

・日経BP社:新・公民連携最前線 特集・賑わい創出<駅前編>「10年以上放置された駅前に、年間80万人 -オガールプロジェクト(1) 公ができなかったから民がやる」(2015年2月18日) 

・東洋経済:地方創生のリアル「リアルな地方創生は、補助金に頼らない」(2014年12月24日)




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根本 潤(福島県郡山市)