ユラックス熱海で開かれた「高齢者等地域見守りネットワーク会議」の講演会に参加した。
主催は福島県と福島県居住支援協議会、共催が福島県社会福祉協議会。
講演の参加対象者は、行政機関住宅担当及び福祉担当、各地社会福祉協議会、地域包括支援センター、NPO等福祉支援団体等となっていて、開催趣旨は以下の通り。
[高齢者等地域見守りネットワーク会議 趣旨]より
平成26年10月における本県の高齢者人口は53万4千人であり、高齢化率は27.7%となっています。高齢者人口は平成37年にピークを迎え、高齢者の人口及び高齢化率の上昇は続くものと予測されています。こうしたなかで、高齢者や障がい者が住み慣れた地域で安心して住み続けることが困難となるような課題が山積しています。特に東日本大震災後の世帯分離等により、高齢者のみの世帯は13万1千戸(平成25年土地統計調査)と増加しており、被災者の仮住まいから住宅再建御の定住移行プロセスにおいて、地域での安定居住に向けた支援も喫緊の課題です。地域包括ケアシステムの構築にあたり、住宅確保要配慮者の安定居住について、行政機関及び福祉団体の皆様始め県民の皆様と共に考える機会とするため、開催いたします。
これから介護職員として働く上で、高齢者を取り巻く問題を知りたいと考え参加した。
白川氏の講演を含め、プログラムは以下の通り。
1) 基調講演「地域を変える地域善隣事業-地域包括ケアにおける住まい」
白川泰之氏(東北大学 公共政策大学院 教授)
2) 事例報告「住み慣れた地域で安心して住み続けるために」
安藤博氏(郡山市地域包括ケア推進課 課長)
3) 講演「東日本大震災被災者の地域コミュニティ支援」
川村博氏(特定非営利法人JIN 代表)
4) 講演「不動産管理事業者から見る住宅確保要配慮者の賃貸住居入居の現状と課題」
鎌田孝太郎氏(公益財団法人日本賃貸住宅管理協会 福島県支部長)
5) 講演「住宅確保要配慮者の居住の安定に向けて」
齋藤隆夫氏(福島県居住支援協議会 事務局長)
以下、講演全体のまとめ
・『福祉は住宅に始まり住宅に終わる』
・住居を福祉政策の中心に据える必要があるが、現実は住宅の確保は福祉だけで実現できない。
・公営住宅は経営の面が強く、民間賃貸住宅などの借主が高齢や障がいを持つなど何らかの事情がある場合、貸主の都合(思惑)で貸せないケースがある。ここで保証人が必要になってくるが、確保できず賃貸契約に至らない事が多い。この保証人を確保する動きが、行政を交えて起こっている。
・家が借りられない しかし、家は余っている
・「平成25年度 住宅・土地統計調査」(総務省)によると、空き家について、全国では52.4%が賃貸用に利用されているが、福島県は39.1%にとどまり、50.7%は不明物件として利用されていない
・今後は“空き家に福祉的な視点”を持ち施策する必要があり、在宅医療・在宅介護など在宅関連市場を創出し高齢者を需要者として活性化させる事も考えなければならない。
・高齢者比率が最高になる2025年を目指して医療と福祉の役割分担の明確化される。医療の必要がない、特に高齢者のすまいが確保され地域に受け入れられる事が重要。
・高齢者を中心に、住み慣れた地域で安心して住み続けるための取り組みが必要。
・自ら外に出る習慣と意思を持ち続けてもらえるような環境が必要で、それを支える仕組みも必要。
・その中で、町内会の役割は重要。地域住民が集う空間として、何かプログラムを用意するとよい。また、単に“あるまつだけ”の空間でもよい。
・地域の中で、安否確認と生存確認をともなった“見守り”体制の確率も欠かせない。
加齢や障がいなどで住宅が確保できない事態になるのは、対岸の火事ではなく、すぐそこで発生しているという現状が理解できた。
『福祉は住宅に始まり住宅に終わる』という言葉は重く、住宅を必要としている方が確保できるよう行政や民間の垣根を越えて連携してゆくことが、地域社会には欠かせない事を痛感した。
これから、介護職の現場で働くの、この住宅確保の実態を目の当たりにするかもしれない。自分なりに考えて、出来る事をしてゆきたいと思った。
(了)
*参考
・国土交通省:「空家等対策の推進に関する特別措置法関連情報」
・NPO法人 空家・空地管理センター:「空家等対策特別措置法とは」
・厚生労働省:「低所得者高齢者等住まい・生活支援モデル事業」(PDF)
根本 潤(福島県郡山市)
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